それってマリッジブルー?

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「意外に普通?」 「あ?」 あ!課長の眉間に皺が寄った。 「なんて言うか……なんかもっと違う事言うかと思って……」 これ以上皺が寄らないように私は正直に話をした。 「あほか」 課長はコツンと私の頭を叩く。 「そんなもんに格差なんてある訳ねーだろ」 課長は吐き捨てるように言った。 「惚れた女の親御さん達だ。嫌われないように気を使うのは当然だろ。俺だって色々考えてたさ。けど……」 課長は言葉を一瞬止めた。 「自分の想いを正直に話したら自然と出た言葉だったんだよ。カッコいい言葉じゃないくてガッカリしたか?」 「ううん」 私は首を横に振った。 「意外だなって思ったけど……嬉しかったです。貴史さんも普通の男の人なんだなぁって……」 「当たり前だ」 課長は手を伸ばし私の頭をクシャリとする。 あ!顔が赤い。どうやら照れてるようだ。 その姿についニヤッとしていると横目でチラリとこちらを見た課長と目が会った。 その瞬間課長の顔が変わった。 その顔は大魔王の顔でお返しとばかりに今度は私に向けてニヤリとする。 「次はお前だな。楽しみにしてるぞ」 あーーー。そうだ。 次は私が課長のご両親に挨拶をする番なんだ! 一気に私の顔色が変わる。 お母様は大丈夫だとしても問題はお父様だ。 私たちの事は認めていると聞いているがお父様とは色々あったので苦手意識がある。 私はギュッとスカートの裾を握った。 その様子を横目で見ていた課長が心配そうに声を掛けてきた。 「どうした?酔ったか?」 どうやら車に酔ったのだと勘違いしたらしい。 私はすぐさま首を横に振る。 「緊張……してきた」 私の小さな声を聞き取った課長がホッとした顔をしたのがチラリと見えた。 すると私の頭の上に手を置いて言った。 「心配するな。反対なんてしないし、させねーよ。お前は普段通りでいい。着飾る必要なんてないんだ。お前はお前のままでいい」 優しく撫でられる頭から温かさを感じて小さく頷くが緊張はあまり消えなかった。
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