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赤く長い髪を風になびかせ、サラは家の近くの丘に向かっていた。
暖かく照りつける春の日差しは色とりどりの花を咲かせるのを手伝っているようだ。丘へ向かう道も、色が溢れている。
丘に着くと、その高い場所から見えるのは広い海だ。近くの大きな木に寄りかかり、サラはその海の眩しさに目を細めた。
「お嬢さん、また一人?」
上から声が聞こえたが、サラは見上げはしなかった。その存在は来たときに知っていたからだ。
「一人じゃいけない?」
「いや、いけなくない。」
太い枝を蹴る音が頭上から聞こえる。次に草の音と共に、サラよりはるかにがっしりとした少年が柔らかく着地した。
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