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「でも、サラが一人でいると狙われるだろ。単独行動はあまり勧めないなぁ。」
「私を狙うバカなんていないよ。痛い思いするのわかってるんだから。」
サラが言うと、少年は声をあげて笑った。屈託のない笑顔は、人の目を引き付ける。
彼もまた光る海に目を向けた。健康そうに日に焼けた肌は、野外にいくらいても焼けないサラの肌と大違いだ。
「海見て楽しい?」
「楽しい、わけじゃない。ただ……」
サラは一瞬言葉を切ると、目を少し細めて言った。
「憧れるんだ、あの先はどうなってるんだろうって。」
「この国の外か? なに、不満なの?」
少年は笑ってから、サラに視線をやった。
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