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その週末、千尋さんはちゃんと無事に帰国した。
今は予定通り、上司様の結婚式に出席しているらしい。
私は待ちきれなくて、昼過ぎ辺りからずっと道場の近くをブラブラしてた。
おろしたての春物のワンピース。
ちょっとだけレースがついてて可愛い系。
私の気分と同じ淡いピンク色。
こんな乙女系、今までの私なら絶対に着ないようなワンピ。
…「可愛い」って言ってくれたらいいな。
あの人が一言、そう言ってくれたなら、私はもう幸せすぎて倒れちゃうかも。
道場の近くのオープンカフェでお茶を飲んでたら、ちょうど綾瀬が通りかかった。
スーツを着て鞄を持ってるから、休日出勤?
「相変わらずヒマそうだな。」
…そう言うアンタは、相変わらず第一声がムカつくな。
「だって、千尋さんが帰ってくるまで待ちきれないんだもん。」
「大体何時に終わるかも分からないだろ。」
「でもそろそろじゃない?もう5時だもん。」
「2次会とかあればもっと遅くなるだろ。」
「…そっか!!」
ハッと口に手をあてて眉を寄せる。
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