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「またか…」
巷で噂の殺人事件の被害者に、同心として勤めている沢井宗右衛門は頭を抱えた。
「親分、これで3件目ですね。しかもどの仏も橋の袂ですよ。」
同行していたハチは遺体から目を反らして言い放った。
今回で3件目の怪事件は全て共通な死に様で、外傷はなく何故か目玉が抉られて無くなっているのだ。
この怪事件を担当した宗右衛門も、溜め息が増えたのは言うまでもなかった。
(一体この八百八町で何が起きてるってんだ?…仏の目玉を集める輩がいるのか?理由があるにしても薄気味悪いな…。)
考えれば考える程、胃の辺りがキリキリと音を立てて締め上げるような感覚に襲われながら、宗右衛門は目撃者を探して町中を駆けずり回った。
「親分、今日も収穫なしですね…。目撃者は居ないんですかね?」
ざるそばを啜りながらハチを見ると、ハチも疲れた顔をして宗右衛門を見ていた。
「目撃者ってのは必ずいるはずだ。しかし何で下手人は仏の目玉を取るんだろうな?」
「何か目目連の仕業みたいっすね?」
洒落を利かせたつもりで言ったハチの言葉は、宗右衛門を考えさせる言葉に変わった。
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