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宗右衛門とハチが訪れたのは知り合いの居る寺だった。
「住職は居るかい?頼みがあって来たんだが…」
宗右衛門の訪問に寺の住職は慌てて顔を覗かせた。
「これはこれは…宗右衛門さん。今日はどのような御用件で?」
中に通された宗右衛門達は、先程の老人の話を住職に話し、どうしたら良いか尋ねてみる事にした。
「目玉しゃぶり…ですか。ならば身代わりの札と護符を御用意しましょう。」
宗右衛門とハチは深々と頭を下げると、また町中へと出ていった。
草木も眠る丑三つ時…
宗右衛門とハチは橋の近くに身を潜めていた。
「出ませんね?…妖怪にも都合があるんですかね?」
寺から貰った身代わり札を胸元にしまいながらハチが呟けば、宗右衛門は苦笑を浮かべ脇差しの柄に護符を張り付けた。
宗右衛門がゆっくりと橋に向かって歩き出した時、辺りの空気が一変し禍禍しい空気が辺りを包んだ。
「……すみませんが…この箱をあちら側の袂に居る者に…渡して下さいませんか?…途中で覗いたりはしないで下さいね」
急に掛けられた声に目をやると、そこには得も言われぬ程に美しい女性が立っていた。
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