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宗右衛門は小箱を受け取ると、女性に向けて刀を抜いた。
「…妖怪目玉しゃぶりだな?…今すぐに江戸を立ち去れ!!立ち去らぬならば…斬る!!」
女性はにやりと口元を緩ませ、宗右衛門にゆっくりと言い放った。
「…旦那…目玉しゃぶりとは…このような女子の事を…指しましょうか?」
そう言って顔をあげた女性の目はなく、宗右衛門は刀を構えたまま動けずにいた。
(斬りつけねば…こちらが殺られる!!……なのに身体が動かん。何故だ?これが…妖怪の恐ろしさなのか?)
女性はすぅーっと宗右衛門の両眼目掛けて指をを伸ばした時、
「親分っ!!大丈夫ですかっ!?…やい!!妖怪!!親分に手ぇ出したらこのハチが許さねぇからな!!!」
急に掛けられた声に女性は振り返り、宗右衛門の身体は自由を取り戻した。
「……ならば…お前の目玉を頂くまで!!」
女性が走ろうとした矢先、何処からともなく力強い念仏が聞こえて来た。
「…うぅっ…また…邪魔をするか…」
苦しむ妖怪に宗右衛門は慌てて斬り掛かると、妖怪は凄まじい悲鳴を上げて消えていった。
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