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「何だ?これ…鳥?」
写真に写る飛行物に目をやれば、それは見た事もない鳥の様なモノだった。
顔は人間で、曲がった嘴を持ち、体は蛇の様に長く、写真を見る限りかなりの大きさのモノだろう。
写真家である福沢宏明は首を傾げた。
先日、震災被害のあった町に行って撮った写真で、綺麗な青空と何事もなく静まり返った海が、印象に残り撮らせて貰った物だ。
未だに瓦礫が積み上がる場所の写真にも、何故かあの不思議な鳥が写って居た。
(他にも写って居るのか?)
そう思いながらも、撮った他の写真をじっくりと見たが、被災した方々の笑顔や美しく強く咲く花達の写真には、変な鳥の様なモノは写っては居なかったのである。
「……これじゃ写真集には載せられないな。」
溜め息を付きながら福沢が写真を机に投げ出すと、タイミング良く編集者の前橋恵美が姿を現した。
「失礼します。先生、良い写真撮れてました?」
入って来た恵美に花の写真を渡しながら、福沢は頭を掻いた。
「花や笑顔の写真は良いのが撮れたんだけど…海や瓦礫の写真がちょっとねι」
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