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孫と微笑むお爺さんの写真を見ていた恵美は、ゆっくりと顔を上げて福沢を見た。
「海や瓦礫の写真がどうしたんですか?…ピンぼけでもしてたんですか?」
「いや…変な鳥みたいなモノが写っててさ…。」
福沢は海の写真を見せると、恵美は顔を凍らせた。
「…………。」
「これじゃ写真集には載せられないから、撮り直してくるよ。」
女性を怖がらせるのも悪いと思った福沢は、写真を恵美の手から奪おうとしたが、恵美はしっかりと握ったまま写真を見つめていた。
「これ…被災地の海ですよね?……あたし…この鳥の写真…持ってるんです。」
そう言うと恵美は鞄から一枚の写真を取り出した。
その写真には国会議事堂が写っていて、あの鳥みたいなモノが飛んでいたのである。
「これを何処で?」
「写真家の八重樫先生から頂いたんです。『気味が悪いから捨てといて欲しい』って言われて。」
確かに気味が悪い写真だと福沢は思った。
だがその反面で、この鳥みたいなモノの事に興味が沸き始めたのは言うまでもなかった。
福沢は恵美から写真を預かり、図書館に向かう事にした。
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