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いくら過去の新聞を調べても、何一つ分からない状況は変わらなかった。
(……何で見つからないんだ…。鳥の図鑑も見たし、新聞も見たのに…)
外の喫煙所で煙草を吸っていた福沢は、持っていた写真をじっと見つめた。
「あれ?…以津真天(イツマデ)ですか?珍しいですね。」
顔を上げるとそこには30代くらいの眼鏡の青年が立っていた。
福沢は慌てて青年の袖を掴んだ。
「あんた…この鳥を知ってるんだな?教えてくれないか?」
青年は驚いた表情を浮かべてから、ニッコリと微笑んだ。
「これは妖怪『以津真天(イツマデ)』です。亡くなった人を放置したままにしておくと現れ、いつまで放置するのかと言う意味で『イツマデ、イツマデ』と鳴くんです。」
『妖怪なんて信じられない』と言う思いと、『妖怪以外に考えられない』と言う微妙な思いが、福沢の脳裏を駆け巡っていた。
「……妖怪!?」
「はい。人の恐怖や思いは時折妖怪化するんです。…人面犬などの都市伝説はその類いですね。」
「…人の思いが妖怪に…」
おうむ返しをする福沢を見ながら、青年は眼鏡を上げて話始めた。
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