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「この写真は被災地の海ですよね?…あの辺りにはまだ見つからない方々も多数いらっしゃいますから…以津真天が出てもおかしくはありませんよ。」
福沢はふと思った事を尋ねて見る事にした。
もし写真に写って居るのが妖怪なら、何故瓦礫置き場や国会議事堂にも現れたのか?と言う事である。
青年の話では亡くなった人を放置した場合に、『以津真天』は現れると言ったが、国会議事堂には放置された遺体はないからだ。
「じゃあ何故瓦礫置き場や国会議事堂にも現れたんだ?…放置された遺体はないのに。」
青年は少し瞳に影を落とすと、写真に目をやりながら呟いた。
「……国民の思いでしょうね。…『いつまで瓦礫をこのままにするのか?』『いつまで経ったらこの国の政策は良くなるのか?』……国民がそう思う力が、『以津真天』を呼んだんでしょう。」
福沢はハッとして青年を見つめた。
確かに最近のニュースでは、被災地の瓦礫を移動する事に反対する人も居るし、国家の政策に不満を唱える人も居たからだ。
「……なら…『以津真天』はどうしたら居なくなるんだ?…退治方法は?」
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