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「弓矢で退治する方法が昔は使われて来ましたが…今の世の中なら『亡くなった方を探して弔う事』や『復興支援』や『国民の為の政策』をする事でしょうね。」
福沢は写真をポケットにしまうと、青年に頭を下げて図書館を後にした。
「え?被災地にもう一度行くんですか!?」
急に呼び出された上に、もう一度写真を撮りに行くと言われ驚いた恵美に、福沢は旅行鞄に着替えやフィルムを詰めながら頷いた。
「何となくだけど分かったんだよ。…本当の被災地の姿や、全ての現状を知って貰う事が、写真家としての使命のような気がしてね。」
福沢の言葉に恵美は共感したのか、電車に乗る時は笑顔で見送ってくれた。
前に来た時と同じルートや、それ以外の被害があった場所を見て回った。
(不思議なものだな…この前より気持ちが落ち着いてる感じがする。)
海に花束を手向けてから深々と頭を下げて追悼の念を表した時、遠くから不思議な声が響いた。
【イツマデ…イツマデ…】
福沢は遠くで鳴く以津真天に告げるように呟いた。
「もう少しだけ待ってくれ。決して家族も皆も貴方達を忘れてはいないから。」
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