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恋は盲目だと良く言ったものだと思う。
その時だった。
骸骨がケタケタと歯を鳴らすと、英治に抱き付き首筋に噛みついた。
慌てて拳で殴り引き離すと、俺は英治を引っ張り外へと逃げ出した。
“ハァ…ハァ…”
どこをどう走ったのかさえ判らず、息を整えながら辺りを見渡すと、隣にいた英治が先に口を開いた。
「な…何で?何で墓地に!?」
「これで分かっただろ!!信じられないのは判るけど…」
英治は漸く自分が噛まれた傷口を触れ、ゆっくりと小さく頷いた。
しかし身体には何とも言えない肌寒さが襲っていた。
【……私と…添い遂げる…と……あれは…嘘だった…のですか?】
響く声に英治はガタガタと震えだし、声のする方を見つめた。
【私の…願いを…聞いて…くれない…なら…連れていくまで…!!】
骸骨の言葉と共に辺りの墓石が揺れ、ガタガタと音を立て始めた。
俺は近くの墓に供えていた榊を取り、姿を見せた骸骨に向かって投げつけた。
木は空中で微妙に進路を変えると、すぅっと骸骨の右目に突き刺さった。
“ギャァァァァッ”
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