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10月上旬の日曜日。
故大山達也の49日法要が滞りなく執り行われた。
用を終え明日には撤去される祭壇がおかれた仏間には、祖父母と典子が座っている。
すると、仏壇を背に正座した祖父が、深々と典子に頭を下げ、
「典子さん、今まで、本当にありがとう。わしらは感謝しきれんぐらい感謝しとります。49日法要も終えることができました。こいから典子さん、あんたのしたいようにしてくれんですか。 わしら夫婦んことは、何も心配せんでえぇんじゃけん」
「えっ、ちょっと待って下さい。私は、なにも……」
「いや、えぇんよ、典子さん。こん大山ん家もわしらで終(しま)いで構わんと思っとる。もう、達也んことは気にせんでえぇんですけん。典子さん、自分の事を第一に考えてくれんですか」
典子は42歳。その子供達は高校生と中学生。
今後、どのような人生を歩むべきなのか、選択すべき岐路に立たされているのは当然である。
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