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「それは違う。お母さんの責任じゃない、泣かないでよ。血液検査の結果を笑って気にも止めず、病院に行かなかった俺が悪かったんだよ。40にもなる社会人なんだから健康管理は自分でやらなくちゃいけないよ。悔やんでも無駄だけど、健康診断がいかに大事な事だっていうのが、今になって判ったよ」
達也の言葉には体験者ならではの重みがあり、真摯に頷く典子がいた。
健康診断が病気の前兆、シグナルを警鐘しているにも関わらず忙しさにかまけ、あるいは面倒くさがって、精密検査を放置しまう人も多いだろう。
達也自身もその一人であった。健康管理の基本は自己管理。早期発見・早期治療の重要性を改めて考えさせられる達也の言葉であった。
翌日から達也は、約束どおり手紙を綴り始めた。
そして、書き終えた3通の手紙を典子に預けた。
「時期をみて子供達にも渡して……。お母さん、何も心配することないよ。もう、俺、安心して逝くことができるよ」
「はい、わかりました」
典子は、夫婦一心同体という言葉を実践するように達也を支え続けてきた。それ故に達也の言動を理解できていた。
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