三歳

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母の顔はいつもオイワさんのように腫れ眼帯を着けて歩く事が多く 父親が帰って来なければいいのにと毎日願ったものだが、時間になれば帰ってくる。 帰ってくればまた、母を殴り、私にかけ算を暗記させる。 少し間違えれば叩かれ、スパルタの毎日。 笑うことを忘れて目は鋭くなり子供らしくない顔をしていたであろう。 この頃から私は、愛情、悲しい、辛い全てにおいての感情を奥深い扉の向こうに閉じ込めてしまったのかもしれない。 期待する事を許されない。ロボットのように毎日を過ごす。 殴られても涙が出なくなっていた。
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