ただ、不器用に愛してる。

ナイショバナシ

面倒臭がりな担任が、学級委員長に仕事を丸投げしてサボるのは割といつものことで。

もう、すっかり慣れたのか学級委員長のテキパキとした指示で教室の右前列の女の子と左後列の男の子がジャンケンした結果。

ジャンケンに勝った右前列の女の子から順に、クジを引いていくことになった。

あたしは、右寄りの席だから順番的には最初のほう。

負けた左後ろの男の子に、後半組になった女の子たちの鋭い視線が集中する。

……可哀相に。

机に顔を伏せて、しょんぼりしている男の子に、あたしはそっと同情の眼差しを向けた。

「次、奈々の番だよ」

隣の唯にそう言われて、ハッと横を見ればクジ入った箱を持った委員長が立っていて。

「ごめん、ボーッとしてた！」

慌てて箱の中に手を突っ込んで、適当な紙を一枚引き抜く。

…２３番、か。

黒板に書かれた座席表だと、窓側の後ろから２番目の席で隣は３１番。