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「なぁに、また藤崎と喧嘩?」
「別に…喧嘩はしてない」
さっきの言い争いを見ていたのか、あたしと悠斗を交互に見やってクスクス笑う唯にプイッと顔を反らして答える。
そう、これは“喧嘩”なんかじゃない。
あれは、あたしたちの日常であり、幼なじみの関係を続ける為の必要条件。
「アンタら、仲いいのか悪いのかわかんないよねー。登下校は一緒にするくせに見るたんびに喧嘩してるし。せっかく超イケメンが幼なじみだってのに、勿体無い」
学園中の女の子が羨む立場なの、わかってる?と唯が小さく首を傾げる。
「イケメン?勿体ない?あたしから言わせれば歩く迷惑だよ」
「おいコラ。聞こえてっぞ」
ちょっと前まで、女の子に埋もれていたはずの悠斗がいつの間にか真横にいてこめかみをピクピクさせていたけど。
そんなのは無視して、さっさと自分の席に座った。
学園中の女の子たちが羨む立場…ね。
実際はそうでもないけど。
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