充との出会い

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真世が勤める観光ホテルは、観光名所が点在するこの地域では、一番の客室数を誇っていた。 本館は、真世が物心付いた頃にはすでに観光ホテルとして営業していて、それから別館、海望館と増築され、地元では知らない人がいないくらいの巨大な観光ホテルになっていた。 その上、温泉有り、露天風呂有り、プール有り、地域の名産の土産ショップ有りと、観光ホテルの売りとも言える施設を全て取り揃えている。 このホテルは他の観光ホテルとは違って、陸からは海域を挟んだ離島の上に建っている為、沿岸からは連絡ボートに乗船して渡らなければ宿泊どころか働くことさえ出来ない立地条件の場所にある。 つまり、従業員である真世たちでさえ、その連絡ボートに乗らなければ出勤出来ないのである。 その連絡ボートも可愛いイルカの形をしていて、観光客にはのんびりと観光気分に浸れ人気がある。 真世たち従業員も出勤となると、当然このイルカの連絡ボートを活用するわけで、都会の満員電車で通勤している人から見ると、冗談のような話だ。
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