プロローグ

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親とは違い四六時中子供の生活と密着していないのだから、これはこれで仕方がない。 特に子供の学校生活のことなど、高学年になるほど、親でも分からないことが多くなるのだから、子供のいない伯母なら分からなくて当然のことなのだ。 伯母の光代は、六十過ぎた今でも、一度も結婚などしたことがなかった。 なぜ、独身を通しているのかと言うと、伯母には生まれつき顔に大きな痣があったからだ。 母の晴美が言うには、伯母はその痣に異常なほどのコンプレックスを持っていたそうだ。 その痣は左頬全体に広がっていて、確かに大きな痣ではあったが、少し厚化粧をすれば、隠れるほどの薄い色の痣だった。 真世の友達の母親の頬にも同じような痣があったが、結婚もして、三人の子供もいる。 痣があったから、結婚が出来なかったのでは無く、伯母自身の性格に寄るものだったとずっと傍で見ていた妹でもある晴美がそう、話していた。
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