プロローグ

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伯母にも若い頃は、幾つかの結婚話が舞い込んで来ていたそうだが、伯母は堅くなに断ったそうだ。 小さい頃はそうでも無かった伯母だったが、やはり年頃の娘になる頃には、自分の顔に異常なほどのコンプレックスを持ち、見る見る内に、内向的になって行ったそうだ。 そんな伯母をずっと傍で見て来た母は、真世が産まれた時は、いの一番に、顔に痣がないか確かめたと言っていた。 伯母の左頬の痣は伯母だけを苦しめていたのではなく、その周りにいた家族さえも、少なからずではあるが、苦しめていたのだ。 母は、自分の子供に、伯母の二の舞はおわせたくないと、ただ、それだけを願っていたそうだ。
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