プロローグ

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妹である晴美としては、自分の姉に同世代と同じような人生を味わって欲しかったのだと言うが、伯母は伯母で幸せなのだろう。  晴美はそんな伯母に対して、強気になれないとこがあり、真世も晴美と同様、そんな伯母に、なにも口応えが出来ないのだ。  そして、三月に短大を卒業した真世は、そんな伯母が近辺に住んでいる実家に帰ることになっている。 実家から車で40分ほど離れた場所にある、地元では大きな観光ホテルへの就職が決まっていたからだ。 一週間後には、新入社員のホテルでの研修期間が始まる。 食パンが入っていたクール便の発泡スチロールの箱に、たまたま手元に残していたガムテープを巻いて、カバンから携帯電話を取り出し、送り状に書かれている宅配便の電話番号を押した。
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