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「寛司先輩に風水の嗜みがあったとは知りませんでした」
“何から伝えればいいのか わからないまま時は流れて~”というフレーズで始まるJ-POPが流行ったのは、もう20年近くも前のことだ。
国民的大ヒットドラマの主題歌で、オレ自身もスタイリッシュなラブソングの傑作だと認識しているが、残念ながら今のオレの心境に色恋沙汰の気配は皆無だ。
ただ単純に、この戸惑いを他人にどう伝えればいいのかわからなかっただけ。
1LDKの暗い玄関でしばらく悩んだ末、ようやく出たコメントは自分でも変だと思う。
そんなオレの苦悩を知ってか知らずか、寛司先輩から明らかな生返事が返ってきたのは、それからたっぷり1分半後のことだった。
それでも一応受けとめてくれたと喜ぶべきか。
彼が毎週楽しみに…というか、もうまるで義務のように観ている日曜早朝の特撮ヒーロー番組がちょうどCMにならなければ、オレはもっと待たされたのだろうから。
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