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話を少し巻き戻そう。
寛司先輩からオレの携帯に電話がかかってきたのは、昨日の昼間のことだ。
「ジュン、パソコンが壊れた。全く動かない」
いやいや、そんなことオレに言われても。
「今日中に直らないと困るんだ」
そりゃまぁ商売道具だし、早いとこサポートセンターに電話するなり、電気屋に持っていくなり…
「じゃ、そういうことで。待ってるし」
待ってるしって、オレ仕事中…って、電話切れてるし。
瀬尾寛司(セオ カンジ)先輩とオレ遠野順(トオノ ジュン)は、この春で丸8年の付き合いになる。
初めて会ったのは大学の入学式の日。
当時3年生の寛司先輩に水泳サークルに勧誘されたのがきっかけだ。
元々オレは水泳なんて全く興味がなかったのだが、水着のお姉さんが間近で拝めるとかなんとか言われて、ふらふら部室までついて行ってしまったのが腐れ縁の始まり。
実際には女子どころか男子部員にも事欠く有様で、とりあえずサークル存亡の為に頭数を揃えたかっただけだと気付いたのは後々のことである。
だが偶然にも寛司先輩とは学部も学科も全く同じで、履修の面倒を見て貰っているうちに、なんとなく居ついてしまった…という感じだ。
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