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やがて先輩は卒業し、地元に帰って会社員になった。
2年後、オレもなんとか卒業して無事に就職することもできた。
本当は空間デザイン系の仕事がしたかったのだが、その手の会社は文学部出の平凡な男はお呼びではなかったらしく、結局は10~20代の若者をターゲットとしたいわゆる“ヤングアダルト”と呼ばれる分野の小説を主に扱っている出版社に潜り込んだ。
入社当時は雑用と編集職だったが、今は昔から趣味で齧っていたパソコンの技能を買われて、会社のホームページ全般を管理する仕事をしている。
名前はそこそこ売れ初めているが会社規模はごく小さく、部署はオレひとりだけ。
社内の締切さえ守ればあとは自由にやらせてもらえるので、その気になれば平日に連休をとることもできる。
なによりフレックス勤務なのが、朝の弱いオレには本当にありがたい。
よほどのことがない限り異動もないだろう。
つくづくよい仕事についたものだと思っていた矢先、信じられないことが起こった。
数年前にウチの出版社が開催した新人賞コンテストに寛司先輩が応募していて、しかも青春小説部門でグランプリを獲ってしまったのだ。
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