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縁とは不思議なものである。
寛司先輩に小説を書く趣味があったとは知らなかったし、ましてウチの出版社で賞をとるなんて夢にも思わなかった。
約一年かかって単行本となったデビュー作は好評を博し、他社からの執筆依頼も入るようになった先輩は、晴れて専業作家として多忙な毎日を過ごしている…ようだ。
おかげでホームページ用に依頼したエッセイがまだ届かない。
締切は明日って、あんなに念を押したのに…って、あれ?
先輩のパソコンが壊れた…ということは、ここでいつまで待っていても原稿のメールは来ないってことじゃないか!
くそ~!じゃあ初めからそう言えっつーの!
オレは残りの仕事を猛烈な勢いで片付け、夕方には先輩のマンションめざして電車に飛び乗った。
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