プロローグ

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―私のMrロンリーへ― あなたが小説家としてデビューしたころから、あなたの小説の大ファンです! 主人公は、みんな同じ特徴で当たり障りないんだけど、どこか私の興味をそそります。 私の周りにもあなたの小説のファンがいっぱいいます! きっと、あんなすばらしい小説を書くのだから、あなたは素敵な方なのでしょう! 私なんか相手にしてもらえないような、カッコよくて女心を分かってて、会話も楽しくて、モテモテの方なんでしょうね。 手紙に同封してある写真は、私の生まれ育った町です。 見てのとおり自然がいっぱいです!(笑) 気に入ってもらえると嬉しいな…。 あなたのファンとして、新作の発売を楽しみにして待ってます。 それから、もし時間があれば10月7日のあなたの誕生日に、私の故郷のオシャレなレストランで開く小野寺ススムのファンイベントに来ていただいて、ぜひみんなに会ってもらいたいんですが…。 暇じゃないのは分かってます。 でも、どうしても憧れのあなたに会いたいのです。 ダメもとで、開始時間とレストランの住所を写真の裏に書いときます。 きっと、来てくれますよね? ―あなたの世界一のファンのSweetie pieより― 恋人なんか34年生きてきて1度もできなかった俺に、天使がやってきたような…そんなファンレターだった。 そして、才能が底をついた俺は、荷物をまとめて彼女に会うためにこの写真の場所へと向かったのだ。 これが、まさか自分の人生を大きく変える経験になるとは知らずに…。
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