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それほどまでに幸せそうな二人。
けれども、自分がここに立っている姿は想像できない。
私は周囲が驚くほど恋愛に対してドライだし、仕事も楽しくなってきたから結婚なんてまだ考えられない。
それに女の場合は結婚したら、家庭か仕事を選択させられるから。
私は多分、家庭を選べないだろうし、そんな私と結婚する物好きは数少ないと思う。
「ねー姫希、来月の婚活パーティー行こうよ。」
そんな私を見兼ねて、望美は甘えるように言ってくる。
彼女の得意な、綿菓子のような笑顔を浮かべながら。
「えー、やだよ。ひとりで行きなよ。」
「私は別に困っていないもん。あんたのために言ってるの。彼氏いない歴何年だっけ?」
そう訊かれて、記憶を振り返る。
あまりに昔の記憶すぎて、すぐに返事が出来なかった。
確か……あれは。
大学生の頃だったから……4年前?
「4年だけど……。」
「うわ……そりゃ重症だ。枯れ果てた田んぼだ。」
「うるさいなあ。幸せだからいいの!!」
気に入った男の前では猫かぶりな望美も、私の前では相変わらず毒舌で。
重症だとか、枯れ果てたとか……
こう見えても一応、女なんですけど。
望美の容赦ない攻撃に、地味にダメージを受けてしまう。
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