12119人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
「ホント、姫希って恋愛にドライよねー。」
「そう? だって私は、運命とかそういうの信じないし。見たことも経験したこともないことを期待して待ち続けるほど、子供でもないし。」
そんなことを話しながら、私は望美と一緒に二次会の会場へと移動していた。
彼女の運転する車の助手席に乗って、向かったのは海沿いにあるパーティー会場。
6月の湿気と、海の匂いが混じった湿気が、じめじめと身体に纏わりつく。
受付を済ませて会場に入ると、そこには既に沢山の人たちで賑わっていた。
「うわ……結構、人いっぱいだね。」
そう言いながら、隣にいる望美を見ると、既に彼女は獲物を狩る準備を始めていた。
「男前発見!!」
「えっ……マジ?」
興奮気味の彼女の言葉に、思わず反応してしまう私。
それもそのはず。
理想の高い彼女の口から『男前』というキーワードが出るのは、珍しいことだから。
彼女が指し示す方を見てみると、確かにめちゃくちゃ爽やかな男性が立っている。
茶色い髪に程よく高い身長、稀にみる男前だった。
「……話しかけてくれば? オフィスラブを探すんでしょ?」
彼女の話に乗っかりつつも、既に興味は目の前の料理に向いている。
.
最初のコメントを投稿しよう!