12120人が本棚に入れています
本棚に追加
.
「下村さん痩せた……? っていうか、もう『下村さん』じゃないんだよね。」
「え……あ、はい。」
私の言葉に、まさに新婚ホヤホヤの彼女は少しだけ照れ臭そうだ。
「じゃあ……瑠里ちゃん。凄く似合っているね、その青色のドレス。」
「そうですか? 嬉しいです!! このドレス、慶介のお母さんの一押しだったんで。
それにしても……結婚式挙げるのって、こんなに大変なんだって知らなかったです。休日には式場とブライダルエステの往復でしたもん。」
「その甲斐あって、そこの男はずっと緩みっぱなしみたいだけど。」
そう言いながら、隣にいた大槻に視線をやると、今にも顔が溶けてしまいそうなほどの頬筋の緩み具合だった。
「うるさい。俺はもともと、こういう顔なの。」
「そうだったね。瑠里ちゃん気を付けなよ。こういう無機質な奴ほど、意外と亭主関白になったりするかも……。」
すると瑠里ちゃんは、それをあっさりと否定した。
「それはないですね。絶対に。」
「……確かに。」
大槻が亭主関白になるほどの世の中なら、私はきっと、大奥の取り締まり役にでもなれるだろう。
そんなことを考えていると、そこに近づいてきた人影。
.
最初のコメントを投稿しよう!