運命の出逢い?

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運命の出逢い?

. ジューン・ブライド。 そんな言葉を、女性なら一度は耳にしたことがあるだろう。 6月に結婚した花嫁は幸せになれるという、ヨーロッパの伝承だ。 そんなの迷信。 誰かの前では、強気にそう言ってみせたけれど。 本当はね……私だって、ただの女なんだから。 いつか王子様が来て、素直じゃない私を優しく攫ってくれるって。 そう思っていた10代の頃。 それから10年近くの月日が流れた。 私たちの世代は、いつのまにか「結婚適齢期」と呼ばれる時期に差し掛かっていて。 今日も同期の幸せを見送る側の人間として、この場所に呼ばれていた。 「うわ……めちゃくちゃ緊張してるね。」 「ほんとだ。」 今、ここで結婚式を挙げているのは、私の働く会社「LOVERS」の同期の仲間で。 相手は職場で知り合った、同い年のアルバイトの女の子。 実は片想いをしている頃から、私も、隣にいる望美も相談をされていた。 望美は彼のことが好きだったから、それを何とか阻止しようとしていたみたいだけど。 「あんな幸せそうな顔見せられたら、敵うはずないって自覚しちゃうね。」 .
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