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「ただいま~」
家に帰るとパタパタと走ってくる音が聞こえてきた。
でも、いつもと音が違う。
お母さんの足音じゃない……と、なると……。
「ちーちゃん、おかえりなさいっ!」
「ぅわ!」
ピョコンと小さい影が見えたと思ったら、首に腕を回すようにして抱きついてきた。
落ちないようにそっと背中に腕を回して抱き上げると、ほっぺたに軽くチュッとキスをする。
「ただいま、花音(かのん)ちゃん」
花音ちゃんは、俺の妹です。
血は繋がってない。再婚相手、つまり今の新しいお母さんの娘。
小学校2年生。出会ったときは幼稚園くらいだったのかな……。
初めは血は繋がってないし、年は離れすぎてるしで、どう接したらいいか分かんなかったけど、結くんに新しい家族とちゃんと向き合うように言われてからは、少しずつ会話出来るようになって、今ではだいーぶ懐いてくれている。
逆を言えば俺も、だいぶ懐いている。
ちっちゃくて可愛いんだもん。
結くんとはまた別の可愛さがある。マスコットキャラクター的な?
「ん……ちーちゃん、なんか、いいにおいする」
首のあたりに顔をくっつけると鼻を動かす花音ちゃん。
「そお?」
「うん、いいにおい」
ああ……きっと、結くんの香りが移ったのかも。
「俺の大好きな人のにおいだよ」
「え?かのじょ?」
今どきの小学生って本当マセてるよね。
「そんなところ。お嫁さん、かな」
俺はニコッと笑うと、花音ちゃんを抱っこしたままリビングへと向かった。
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