プロポーズは突然に?

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「なに?」 「卒業おめでとう」 「ああ、うん。ありがとうございます」 改めて言われるとなんだか照れる。 「お前も4月から大学生だな。正直父さんは受験に受かるかヒヤヒヤしていたぞ」 うん、それは俺もいっしょだけど。 センター前まで結くんにビシビシ怒られながら勉強したっけ……あのときは本当に睡魔との戦いだったよ。 結くんが甲斐甲斐しく勉強を教えてくれたことで志望大学には無事合格。 来月からはキャンパスライフなわけだけど……。 「それでだ……お前、大学受かったときにひとり暮らししたいって、言ってたよな」 「うん」 「それは……その……この家にいたくないからなのか?」 「え?いや、違うけど」 単純にひとり暮らししたら、前より結くんと会いやすくなるからと思って、ひとり暮らししたいって言ったんだけど。 俺がはっきり否定すると父さんは少し面食らったような顔をした。 「違う、のか……俺はてっきり……」 「もう、俺も子どもじゃないし……お母さんたちと一緒にいたくないなんて思ってないよ」 そう思えるようになったのは結くんのおかげなんだけどさ。 「でも、ひとり暮らしはしてみたい」 「そうか……でも……悪いが父さんはひとり暮らしにはあまり賛成できない」 「なんで?あ……家賃が余計に掛かるから?」 「いや、それくらいの金なら余裕で出せるし何の問題もない」 「……そうなんだ」 やっぱり俺の家って、結くんの言うとおりお金持ちなのかな……。
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