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――次の日――
早朝6時。
まだ外は薄暗い中、俺は合鍵を取り出すと音を立てないように静かに鍵穴に入れて回す。
ゆっくりとドアを開けると、すぐにいい香りが鼻をくすぐった。
「結くんのにおい……」
フローラルみたいな、石けんみたいな、とにかく清潔感に溢れたにおい。女の子みたいなにおい。やっぱり結くんは半分女の子なんじゃないだろうか。
クンクンと鼻を動かして結くんがいることを感じながら、部屋にあがる。
本当に俺ってエッチだね。
静かにリビングのドアを開ける。
部屋の奥のほうに置かれたベッド。羽毛布団を抱きかかえるようにして眠る結くんの姿が見えた。
足音を立てないようにそっと近づく。
近づいた瞬間、
「……っ!!!」
慌てて両手で口をふさぐ。
あやうく叫びそうになったのだ。
超可愛い~!って。
羽毛布団を抱き枕みたいにギュッと抱きしめながら、スーッと寝息を立てる結くん。パジャマ代わりの大きめのロンTは乱れて背中が丸見え。寝相が悪いせいかズボンもお尻のあたりまで下がっていてパンツが半分見えている状態。
無防備すぎるその姿にキュンとしないわけがない。
うううぅぅ……襲っちゃうぞ?
ベッドに手をついて、顔をのぞきこんだ瞬間、結くんが目を閉じたままクスリと笑った。
「や……だ……っ」
……寝言?
ポツリと出た言葉に目をパチパチさせていると、結くんはクスクスと笑いながら布団をさらにギュッと抱きしめた。
「くすぐったい……知里」
え……俺?
なんもしてないんだけど……。
「さわ……んない……でっ……」
ちょっと、結くん。
誘ってるでしょ。
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