プロポーズは突然に?

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「わぁ~ん、ジャム、手についた~」 「どんだけ不器用だよ……」 「ティッシュはー?」 「テーブルの下にあんだろ」 「ん……あ、あった」 テーブルの下を覗くとティッシュ箱と、そのとなりに1冊のフリーペーパーが置いてあるのが目に入った。 なんだろ……コレ……。 ズイッと引っ張り出して手に取ってみる。 「賃、貸……物件……って……結くん引っ越すの?」 首を傾げる俺を見て結くんはコクリと頷いた。 「ここ、2年契約だから、更新すればまた住めるんだけどさぁ、大学はちょうど卒業だし、就職先の学校こっから結構遠いし、いっそのこと引っ越そうかと思って……親も金出してくれるって言ってくれたし」 「そう、なんだ」 「今週中にどっかいいとこ見つけたらすぐ荷物まとめて、卒業式前には引っ越さないとって感じ。何気に忙しいんだよ……」 結くんは大きくため息をつくとパンをかじった。 「就職先の高校って……どこになったんだっけ?」 「んぁ?あ~、あそこ、港区の方。駅はどこが一番近いんだったけな……」 港区、ってことは俺が行く大学と近いじゃん……! 俺は、フリーペーパーをバサッとテーブルの上に置くと、あぐらから正座に姿勢を変える。 「……な、なんだよ」 「あのさ……」 「うん?」 「結くん。俺といっしょに暮らしませんか?」 その瞬間、結くんの手からポロッとパンが落っこちた。
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