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次の日。
約束通り、父さんに紹介するべく結くんを家へと連れて来ていた。
家の前に着くなり、結くんは青い顔をしたまま俺の服の裾をギュッとつかんだ。
「やべぇ……緊張しすぎてゲボしそう」
「結くんって口悪いわりに意外と繊細だよね……可愛いんだから」
「うるせぇよ」
緊張をほぐしてあげようと思ったのに、思い切りわき腹をパンチされてしまった……。
「そんなに緊張しないで?付き合ってるって言うわけじゃないし……」
「そうだけど……やっぱり緊張するだろ……好きな人の親に会うんだぞ!?無礼のないように、良い印象を与えられるようにしないとっ!」
ちょ……結くん……可愛すぎるってば。
無意識で言ってるだけに余計可愛い。
「結くーん……もー超好きー……」
「コラ、待て!まてだぞっ!こんなとこで抱きつくとかやめろ。マジでありえないから」
「……ごめんなさい」
厳しく「まて」を出され、シュンと尻尾をおろすと家の門を開けて玄関へと向かう。
「じゃ、入るよ?」
「お、おうっ……」
「ただいまー」
玄関を開けると、いつものようにパタパタと軽やかな足音。
「ちーちゃん、おかえりなさーいっ!」
まさにこないだのデジャヴ。
花音ちゃんがリビングから走ってくると、勢い良くジャンプし俺の首に腕を回して抱きついた。
「ただいま」
そして慣れたようにほっぺたにチュッと軽くキスをしてあげる。
花音ちゃんは俺に抱きついたまま、不思議そうな顔で結くんを見つめた。
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