ご両親に、ご挨拶

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俺は花音ちゃんをひょいと抱き上げると、人差し指を出して花音ちゃんの唇にくっつける。 「花音ちゃん、このおにーちゃんがお嫁さんって話は、パパとママにはナイショだよ?」 「ちっ、知里!!」 「俺と、このおにーちゃんと、花音ちゃん、3人だけの秘密。わかった?」 花音ちゃんは嬉しそうに笑うとコクコクと頷いた。 子どもって秘密とかナイショとか、大好きだよね。 「じゃあ、先にリビングで待ってて?」 「うん!」 下におろすと、花音ちゃんはパタパタと走ってリビングへ戻っていった。 「……おい、コラ!てめぇなに余計なこと吹き込んでんだよ!つーか、バラされたらどーすんだ!」 結くんは俺の胸ぐらをつかむとガクガクと揺らした。 「んー……そのときはそのときじゃない?別にバレたらそれはそれでいいかな~って」 「なんでお前はそんなに楽観的なんだよ!アホだろ!」 眉間にシワを寄せカリカリしている結くんの手を取ると、チュッと軽く額にキスをする。 「俺は全然へーきだよ。だって、結くんを好きになったこと悪いとも思ってないし、恥ずかしいとも思ってないもん」 ためらうことなくハッキリ言ったら結くんは、目を潤ませたまま視線を外した。 「……なんだよ……ソレ」 「親にはさ……今は言うべきときじゃないから言わないけど……いずれ言わなきゃいけないときが来たらちゃんと言うつもりだよ、結くんのこと。それくらい、大事に想ってるから」 「な……こんなとこで……そういうこっぱずかしいこと言うなバカ!」 バカと言ってるわりに嬉しそうな顔をしてるように見えるのは気のせいかな……。 「……中、入ろっか」 俺はクスリと笑うと結くんの手を引いてリビングへと向かった。
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