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「ただいま」
「知里くん、おかえりなさい……あら?塚原くん!」
お母さんは結くんを見ると「まぁ!」と言った顔で結くんを見た。結くんに会うのは、あのとき以来だからかれこれ1年以上ぶりなのに、お母さんはしっかり覚えていたらしい。
「お久しぶりです」
結くんがぺこりと頭を下げるとお母さんは嬉しそうに笑った。
「今、お茶入れるから座って?」
「はいっ、ありがとうございます」
結くんにダイニングテーブルに座るよう促すと、俺もとなりに座った。
「あ、ちーくん。おかえり」
リビングのドアを開けてやってきたのはりっくん。お風呂からあがってきたようで、首にタオルを掛けパジャマ姿で現れた。
「あ、りっくん」
りっくんはポテポテと歩いてくると、テーブルのわきに立ち結くんを不思議そうな顔でじーっと見た。
「こ、こんにちは」
すかさず結くんが挨拶するとりっくんはますます不思議そうに首を傾げ、今度はこちらを見たので俺はニコリと微笑んだ。
「りっくん、こちら結くんです。俺の大事な人」
相変わらずの紹介に結くんはもはや反論する気もなくなったのか、ため息だけついていた。
りっくんは腕組みすると「ああ……」とつぶやく。
「やっぱり男か……見たかんじ一瞬女の子かと思った」
「え!?」
りっくんの冷静な分析に結くんは目を丸くして驚く。
俺はというと結くんが女の子に間違えられたことがなんだか嬉しいというか、面白いというか、りっくんにも結くんの可愛さが分かるんだなぁと思ったらおかしくて、吹き出してしまった。
結くん的には吹き出したことに相当ムカついたみたいで、テーブルの下で思い切り俺の足を踏んでいたけど……。
……いたいです。
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