プロポーズは突然に?

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ホームルームが終わるとみんなで記念撮影。 「ちぃ、一緒に写真撮ってー!」 「あたしとも!」 「こっちもこっちも!」 1枚誰かと撮り終わるたびに、引っ張られてはまた1枚、また引っ張られてはまた1枚……と、クラスの女子全員のデジカメの中に俺が映ってる状態になってしまった。 正直、早く結くんトコ帰りたいんだけどな……。 今度こそ帰ろうとカバンを持ったが、美里に捕まってしまった。 「ちぃ!ネクタイちょうだい!」 「……ほぇ?」 「ネ・ク・タ・イ。ほら、学ランの第2ボタンもらうみたいな感じだよ!」 「ああ、いいけど。本当にいるの、コレ」 「記念だよ、記念っ。大学行ってもたまには遊んでよ?」 「はーい」 俺は片手で慣れたようにネクタイを外すと美里に手渡した。 「あ!美里ずるい!あたしも欲しかった~」 「早いもの勝ちだよ~ん」 ……そんなにみんな、ネクタイ必要なの?必要なら買えばいいのに……こんな俺の汚れたやつじゃなくてさ。 「ちぃ、あたしはブレザーのボタン欲しいんだけど」 「いいよ……」 何の躊躇もなくブチとちぎって違う女子に渡す。 が、たぶんそれがマズかった。 「あたしも欲しい!」 「シャツのボタンでもいいからちょうだい!」 わらわらと群がる女の子たち。 なんでみんなそんなにボタン欲しいんだろう……。 そう思いながらもブレザーのボタンと、着ていたシャツのボタンもちぎってプレゼントした。 シャツのボタンが残り2個になったとこでさすがに手を止める。 「ごめん……俺、これ以上ボタン取ったら、上半身丸見えで帰らなきゃいけなくなるから、もうあげれない」 ちょっとサービスしすぎた……と反省しながら、教室をあとにした。
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