ご両親に、ご挨拶

7/11

1547人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
「ふぅ、さっぱりした……お、知里帰ってたのか」 やってきたのはお風呂あがりの父さん。 今日は仕事が休みだったらしく、1日家にいたみたいだけど、りっくんともうお風呂に入っていたらしい。 「おじゃましてます」 父さんに気づくと結くんは立ち上がってぺこりと頭を下げた。 「おお!知里のお友達!?」 「はい」 「そお~。まあまあ、座って座って」 父さんは呑気に笑って俺たちの前に座る。 「いやいや、驚いた。知里が友達を家に連れてくるの初めてだから」 「そう、なんですか……?」 結くんが父さんの話を聞いて少し驚いたような顔をしたので、俺はコクンと頷いた。 「父さん、こちら塚原結くん」 「塚原くんね。知里と同じ高校だったのかな?」 「いや、えーと……高校は違うんですけど……」 「結くんとはね去年知り合ったの。元々教育実習に来てて、まあ、なんやかんやあって、それ以来仲良くしてんの」 あっけらかんとした俺の説明を聞いて結くんは「なんやかんやって……」と小さくつぶやいた。 だってそこを詳しく話し始めたら大変じゃない、色々。 「受験のときに、たくさん模試の対策とか勉強教えてくれたのも結くん」 「ああ!それはそれは……その説は大変お世話になりました!」 「いえいえ!お世話だなんてとんでもないです。俺はほとんど何もしてません……知里くん自身が頑張った結果ですから」 結くん……。 感動して泣きそう……ていうか、猛烈に結くんを抱きしめたい! ウズウズ……。 抱きしめられない分、俺はちょこっとだけ結くんにくっついた。 そして結くんはちょこっとだけ離れる。 ……うう。 ヒドいよおおぉ……。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1547人が本棚に入れています
本棚に追加