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「ふぅ、さっぱりした……お、知里帰ってたのか」
やってきたのはお風呂あがりの父さん。
今日は仕事が休みだったらしく、1日家にいたみたいだけど、りっくんともうお風呂に入っていたらしい。
「おじゃましてます」
父さんに気づくと結くんは立ち上がってぺこりと頭を下げた。
「おお!知里のお友達!?」
「はい」
「そお~。まあまあ、座って座って」
父さんは呑気に笑って俺たちの前に座る。
「いやいや、驚いた。知里が友達を家に連れてくるの初めてだから」
「そう、なんですか……?」
結くんが父さんの話を聞いて少し驚いたような顔をしたので、俺はコクンと頷いた。
「父さん、こちら塚原結くん」
「塚原くんね。知里と同じ高校だったのかな?」
「いや、えーと……高校は違うんですけど……」
「結くんとはね去年知り合ったの。元々教育実習に来てて、まあ、なんやかんやあって、それ以来仲良くしてんの」
あっけらかんとした俺の説明を聞いて結くんは「なんやかんやって……」と小さくつぶやいた。
だってそこを詳しく話し始めたら大変じゃない、色々。
「受験のときに、たくさん模試の対策とか勉強教えてくれたのも結くん」
「ああ!それはそれは……その説は大変お世話になりました!」
「いえいえ!お世話だなんてとんでもないです。俺はほとんど何もしてません……知里くん自身が頑張った結果ですから」
結くん……。
感動して泣きそう……ていうか、猛烈に結くんを抱きしめたい!
ウズウズ……。
抱きしめられない分、俺はちょこっとだけ結くんにくっついた。
そして結くんはちょこっとだけ離れる。
……うう。
ヒドいよおおぉ……。
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