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ショックを受けつつも、俺は気を取り直すようにコホンと咳払いした。
「父さん、ルームウェア……じゃなかった……ルームシェアの話なんだけど……」
ガーン。結くんに避けられたショックが大きすぎるせいで言い間違っちゃったよ……。
いやいや、それはともかく……。
「結くんもちょうど引っ越すみたいで、ルームシェアのこと話してみたら一緒にシェアしてもいいって言ってくれた」
「ええ!?本当に!?」
「はい。僕も今度はルームシェアがいいなとちょうど思ってたんです。就職するにあたって家賃の面で色々不安もありましたし……シェアなら今までと同じ値段を出しても半分ずつになるので今より広い部屋を探せます」
す、すごい……。
緊張してると言ったわりにペラペラ言葉が出てきてるよ、結くん。
教育実習のときの授業風景を思い出しちゃうな……。
「でも……知里で本当にいいの?」
ちょっと父さん、どういう意味ですか。
「友達ならよくわかってると思うけど、知里はこの通り世間知らずなうえにマイペースでわがまま。料理も出来なければ、掃除も苦手、とにかくルーズ。褒められるところと言えばこのルックスくらいで……きっと一緒に暮らしたら塚原くんに迷惑を掛けてばかりになると思うよ」
……そこまで言う?
せっかくいいよって結くん言ってくれたのに、こんなこと言われたら結くん、意志が揺らいじゃうんじゃ……。
やっぱり止めます、みたいな……。
不安そうな顔で結くんを見つめると、結くんはフッと優しく笑った。
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