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「んじゃ、寝るときは俺の部屋にしよ?ダブルベッド買うから」
「はあっ!?んなのわざわざ買わなくていいって!家の持ってくりゃいーじゃん」
「それが家のは、りっくんが使う気満々でさぁ……持ってこれそうにないんだもん」
「ああ、そっか。それならしょうがねぇな……」
「だから、新しいの買うことにする~。ダブルじゃやだ?もしかしてキングサイズのが方がいい?」
「キング置いたらお前の部屋の大半がベッドになるぞ……アホ」
「じゃ、ダブルでいっか。あとでいっしょに探しに行こうね」
「はいはい……」
その後も話し合いは続き、ようやく大体のことが決まるとカフェを出て不動産屋へ。
50過ぎくらいの人の良さそうなオジサンが対応してくれた。
「2LDKで家賃は14万円以下、駅から徒歩10分以内、バストイレ別で、なおかつ今月中に引っ越し可能なマンションを探してるんですけど」
教科書を音読するみたいに単調な口調で結くんが言うと、オジサンは「う~ん……ちょっと待ってくださいね~」と言って、手元にあるファイルをペラペラめくりだした。
「……あるのかなぁ」
「それを探すのがこの人たちの仕事だ。見つけてもらわなきゃ困るっつーの」
結くんはオジサンには聞こえないように小さい声でボソッとつぶやいた。
さすがもうすぐ社会人……発言がやけに強気!頼りがいあるなぁ。
勇ましい結くんに尊敬の眼差しを送っていると、おじさんが「あ~ありましたよ~」と教えてくれた。
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