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「知里先輩っ、卒業おめでとうございます!」
昇降口を出ると今度は待ち構えていた水泳部の後輩たちからプレゼントや花束を一気に手渡される。
……こんなに、持ちきれない。
あ、でもこの花束とかは結くんちに飾っちゃおう。
「ありがと~。じゃあねー」
両手に抱えると俺は急ぎ足で結くんの家へと向かう。
学校から結くんちが近くて本当に良かった。
マンションに着くとインターホンを鳴らす。
『あ、ごめん。今、洗濯物干してるから自分で開けて入ってきて。鍵あいてる』
「はぁい」
返事とほぼ同時にドアを開け中に入る。
玄関にもらった花束やプレゼント、カバンを置くと、靴を脱ぎ一目散にリビングへと走って向かった。
「結くんただいまっ!!」
リビングのドアを開けると、ベランダで洗濯物を干す結くんの姿が見えた。
結くんは俺に気づくと、洗濯物を持ったままちらりと振り返り、
「おかえり、知里」
と、言ってニッコリ微笑んだ。
「ゆうぅぅぅくーん!」
「どわっ!」
走ってベランダへ向かうと、勢いよく結くんに抱きつく。
「結くんっ、結くんっ」
「ちょ、わかったから離れろ!見られるって!」
結くんは顔を赤くすると、洗濯物を一旦カゴに戻し俺を部屋の中へと押し戻した。
「全く……その帰ってきたらすぐ抱きつく癖、なんとかなんないわけ?勢い良すぎてもはやタックルだよ」
「だって結くんのこと好きなんだもん。おかえりのちゅーは?」
「はいはい……!」
可愛く甘えてみると、結くんは照れながらもいつものようにチュッと軽くキスをしてくれた。
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