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それから引っ越し当日までは本当にバタバタだった。
俺が、というより、結くんが……。
元々俺は荷物が少なかったし、持ってくものも少なかったから荷造りは1日で終わるくらいだったんだけど、結くんは4年の間に色々荷物がたまっていったらしく、いるものといらないものを分けたり、掃除したり、本当に忙しそうだった。
「会いたい」とメールをすれば「無理」と断られ、
「手伝おうか?」とメールすれば「お前には無理」と断られ……
とにかく断られてばっかで!
俺は仕方なく家でしょんぼりスネていた。
そしてやっと結くんから「家来ていいけど」とお許しが出たのが、引っ越しの前日だった。
インターホンを鳴らし、ガチャとドアが開いた瞬間、
「結くーんっ!!!!」
「ぐっ……!」
勢いよく抱きついた。
「だ……から……お前、それタックルだって……まじ苦し……」
「んんんー……結くんのにおい……」
抱きしめながらスホーッと結くんのにおいを全身に取り込む。
そうそうコレコレ、このにおい……うん!どんどんみなぎってきたよ!
性欲が!
「結くん会いたかった……久しぶりのちゅうは?」
「早速かよ!」
「ちゅうしたいっ、ちゅうしたいっ」
「うるせぇな……」
半ば呆れている結くんのあごに指を置いてもちあげると、唇に目線を落とす。
「……キス、してもいいですか?」
甘えモードから一変、イケメンモードに変えると結くんの顔が一瞬にして真っ赤になった。
「か、勝手にすればっ……!」
それじゃあお言葉に甘えて……。
数日ぶりの結くんとのキス。
だめだなぁ俺……毎日結くんとちゅうしなきゃ、死んじゃいそうになる。
それくらい結くんとのキスが、かけがえのない大切なものになってしまった。
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