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「ちーちゃんに手紙書いてきたんだっ」
花音ちゃんは手に持っていた2つ折りの画用紙を手渡した。
中を開けると、俺らしき人物と、可愛い女の子がドレスを着て笑っている絵が描いてあった。
「ちーちゃん、引っ越しちゃうからさ……引っ越しのプレゼント。花音のこと忘れないでね?」
「忘れないに決まってるでしょ?お兄ちゃんなんだから」
「そっか」
「この花音ちゃん可愛いね。ドレス着てるんだ?」
ニコッと笑って絵を見せると花音ちゃんは首を横に振って見せた。
「それ、花音じゃないよ」
「え?ちがうの?」
「それは、ゆーちゃんだよっ」
「え!?」
改めて絵を確認すると、下のほうに小さく鉛筆で「ゆーちゃん」と書いてあった。
「だってゆーちゃんは、ちーちゃんのお嫁さんでしょ?」
花音ちゃんは満面の笑みで自信満々に答える。
一体花音ちゃんはどこまで理解してるんだろう……そもそも、男の子がお嫁さんって変だと思わないのかな。
「ゆーちゃんといっしょに暮らすんでしょ?」
「ああ、うん」
「じゃあその絵、しんきょに飾ってね!」
「あははっ」
新居って。ちゃんと意味わかってます?花音ちゃん。
「ありがとう、飾るね」
早く結くんに見せてあげたい。きっと「はあ!?」と言って顔を赤くするに違いない。
「花音ちゃんさあ……」
「なぁに?」
「ゆーちゃんがお嫁さんって、変だな~って思わないの?お嫁さんって、ホントは女の子しかなれないのに……」
「思わないよ。だってゆーちゃんホントの女の子みたいに可愛いんだもんっ」
あははっ、なるほど。
「ゆーちゃんと仲良くね!」
花音ちゃんは嬉しそうに笑いながら俺の頭をヨシヨシとなでた。
「ん、ありがとう」
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