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そのあとすぐに引っ越し屋さんが来て、早々と荷物を積むと新しい家へと向かって出発して行った。
俺もあとを追うようにしてマンションへ向かう。鍵を受け取って、一応地図ももらって、508号室へ。
何もないだだっ広い部屋。
俺はリビングの真ん中に立つと仰向けに寝転がって真上にあるシャンデリアを見つめる。
これからここにふたりの荷物が運ばれて、ここで新しい生活が始まる。
「ただいま」って言ったり「おかえり」って言ったり、
「今日は何食べる?」とか、「お風呂入ろ~」とか、そんなたわいもない会話がこの部屋で飛び交う。
何よりいちばん嬉しいのは朝起きたときに必ず結くんがとなりにいて、寝るときも必ず結くんがとなりにいる。
「おはよう」と「おやすみ」を面と向かって言える。
それがすごく嬉しい。
幸せ。
新しい生活を妄想してニヤニヤしているうちに、結くんの方の引っ越し屋さんが到着。慌ただしく荷物が搬入され始める。
「これはどちらにお運びすればいいですか!?」
「あ~……じゃあ、あっちで」
部屋、どっちを使うか決めてなかったけど……ま、いっか。勝手に決めちゃいまーす。
日当たりが良さそうな方の部屋を結くんの部屋にしちゃお。俺、明るいのあんまり得意じゃないし。
その後も荷物は運ばれ続け、洗濯機や冷蔵庫の大物は、たぶんここであろう場所に置くよう頼んだ。
「ありがとうございましたー!」
「はぁ~い」
引っ越し屋さんを見送ってすぐ、
「もう荷物届いたんだ」
結くんがやってきた。
「今のってどっちの?」
「結くんのほうだよ」
「思ったより早かったな……よし、早速荷物出すか~」
結くんは腕まくりすると荷物が置いてある部屋へと向かっていく。
俺は一体どうしたら……と思っているうちに、引っ越し屋さんが到着。
自分の部屋へ荷物を搬入した。
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