もうひとりの結くん

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結くんとの新生活が始まって1週間が過ぎた。 「ううぅ……ん……?」 寝返りを打ったらピタリと何かに体がくっついた。 あ……何かじゃない……結くんだ。 ゆっくり目を開けると、可愛い寝顔でスヤスヤ眠る結くんが目の前に……。 結くんの首と鎖骨、胸には昨夜俺がつけたキスマークが生々しいくらいはっきりついている。 きっと、目線を下ろしていけば下のほうにも色々ついているに違いない……。 いっしょに暮らし始めてもう1週間が経つというのに、いまだに慣れない。慣れないというか、ドキドキする。 目を開ければ必ず結くんがとなりにいて、手を伸ばせば触れられて、俺だけの結くんがいつも存在する。 毎日毎日俺のそばにいてくれる。 つまり毎日毎日キュンとしている、ドキドキしている。 「ゆーう、くん……」 起こさないようにそっと囁き、額に唇を落とす。 「んっ……にゃぁ……」 結くんはもぞもぞと体を動かすと、頭をスリスリと俺の胸につけたあとでまたスーッと寝息を立てた。 前から思ってたけど、なんで結くんって寝言が超絶かわいいんだろう……。寝言で「にゃあ」って……。 普段もこんな感じで甘えてくれればいいのになぁ。 『ちさとぉ~、なでなでしてにゃんっ♪』 って、 これは何がどうしたってありえないことだから妄想するだけ時間のムダか。 結くんを起こさないようにベッドから起き上がると、床に脱ぎ捨てられた部屋着に腕を通す。 「ふわあぁぁ……ねむい……けど……これも結くんのため……」 時刻は朝の6時。 いつもは余裕で爆睡してる時間だけど……今日はそういうわけにはいかない。
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