もうひとりの結くん

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「あ、待って」 スプーンを持ったところでストップを掛ける。 「あーん、してあげる」 「え!?いいよ、自分で食えるし……」 「いいからいいから~。いつもやってもらってるから今日はお返し」 結くんからスプーンを奪い取るとオムライスをすくって結くんの口元へ運ぶ。 「はい、あーん」 「うっ……ん……」 結くんは顔を赤くしながら目線を外すと口を開けてパクッと食べた。 どう……かな……。 「……おいし」 「えっ?」 「おいしい。すごく」 「本当に!?」 結くんは、はにかみながらコクリと頷いた。 「知里、おかわり……」 「うんっ」 もう一口すくってあーんをしてあげる。 やったあ!結くん喜んでくれた……すごい嬉しいっ! 「知里」 嬉しくて嬉しくてニヤけていると、結くんが突然手招きをした。 「なに?」 顔を近づけた瞬間、 チュッと唇がくっつく。 「……ご褒美のちゅう、なっ。ありがと。すごい嬉しい」 「結くんっ……」 俺のご主人様って本当優しい! 「じゃあじゃあ、頑張ったご褒美にゴハン食べたら、結くんのことたくさんペロペロし……」 「それはヤダ」 「……はい」 いや……本当に、優しいんだよ? うん……。
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