もうひとりの結くん

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「んじゃ、行ってくるな」 「うん」 ビシッとスーツに身を包んだ結くん。いつも可愛いのに今日はちょっとだけカッコイイ。 「式が終わったらそのまま謝恩会行って、そのあとは陽翔たちと飲みだから遅くなるかも。終電には間に合うように帰って来るけど」 「うん!」 「眠かったら先寝ててもいいから」 「それは、大丈夫。ちゃんと待ってる!」 だってやりたいもん! 尻尾を振ってニコニコ見たら、結くんは何か悟ったのか目を細めた。 「言っとくけど、俺が疲れてたらやんないからな。期待すんな変態が」 「結くん、ここ最近勘が冴えてるね。付き合う前は俺のことよくわかんなーいみたいなこと言ってたのに」 「こんだけ一緒にいる時間が長けりゃ嫌でも分かってくるわ。お前のエロさと性癖くらい!」 「それもそうか……」 「ったく……じゃ、行ってくるな」 「待って。いってきますのちゅう」 「ん……」 チュッと軽くキスをすると笑顔で、結くんを見送る。 「いってらっしゃーい……っと、俺もやることやんなきゃな」 ぐぐ~っと伸びをすると、洗面所に行って洗濯機を回す。 回している間にお風呂の掃除。 それから、朝ゴハンで使った食器洗い。 これが俺の担当。 結くんと一緒に暮らすにあたって家事は分担するようになった。 お風呂掃除、洗濯、食器洗いが俺の仕事で、料理、部屋の掃除、ゴミ捨てが結くん。 トイレ掃除は交代制。 最初はめんどくさいなあ~と思ったりもしたけど、お風呂掃除はエッチのためだから頑張れるし、洗濯も結くんの服を干せる喜びがあるし、食器洗いも結くんが口をつけたものだと思ったら苦じゃなくなった。 我ながら、なんて変態。
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