もうひとりの結くん

10/21
前へ
/82ページ
次へ
次に目を覚ましたときは、部屋の中が真っ暗で、一瞬、時間の感覚が分からなくなる。 「うぅ……ん?ふああぁ……よく寝た」 起き上がって大きくあくびをしたあと、のらりと立ち上がり、電気をつけて時計を確認する。 「あららっ……うそ、もう10時?」 っつーことは、なに。5時間以上寝てたってこと? 昼寝にしては寝過ぎ、だよな。 結局どうやって渡すか決めてないし……。 うーん……とりあえずなんか食べよ。おなかすいた。 冷蔵庫を開けてなにを食べるか考える。 おなかはすいた……けど……作るの面倒だなぁ……。 オムライス作りで料理の大変さはイヤというほど思い知らされたし。 んー……ヨーグルトでいいや。 アロエヨーグルトを出すとソファーの上に体育座りをしたままちょびちょび食べる。 寝起きすぐだからか頭が働かない……。 ……あ、そういえば、結くん。何時に帰れるか連絡入ってるかな? テーブルの上に置いていたスマホを確認すると着信履歴と留守録がそれぞれ2件ずつ残っていた。 そのどちらもが結くんから。 9時に電話が2回来てる。爆睡してて全然気づかなかった……。 留守録にメッセージ残ってるみたいだから聞いてみよう。 留守録に残っていたメッセージを再生すると、ピッという機械音のあとにザワザワという騒がしい音が聞こえてきた。 陽翔くんたちと飲むって言ってたし、居酒屋なのかな? 『うにゃあああ~』 ……ん? 『ちぃーさぁーとぉにゃんっ♪ゆーくんらよっ』 んぐッ!!!! 「ゲホっ……ゲホゲホッ!ゆゆゆ結くんっ!?」 予期せぬ発言にヨーグルトが気管支に入り思い切りむせてしまった。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1547人が本棚に入れています
本棚に追加